留萌管内各地で様々な人に会い、おいしいものや美しい自然景観を堪能してきた畠中数茂と大沢天羽。
”写真の旅”もいよいよ大詰めを迎えた。
これまでニアミスを繰り返してきた2人の次の目的地は同じ場所。
羽幌沖に浮かぶ2つの島、天売島と焼尻島だ。
両島とも周囲約12kmとほぼ同じ大きさで、島影も似ていることから通称”夫婦島”と呼ばれる。
羽幌港からフェリーで1時間(※1)、まずは焼尻島に降り立つ数茂。
祖父の写真は、隣の天売島が見える景色のいい場所で撮られたもので、
一緒に写っている”謎の女性”も非常に気になる。
夕子さんという名前らしいのだが、詳細は不明である。雰囲気から見て、恐らく島の人ではないだろう。
港の地図を見て写真の場所を確認し、さっそく現地へ向かう。
とそこへ、同じ船に乗っていたらしい天羽の姿が。
数茂と同じように、地図で写真の場所を確認しているようだが・・・。
写真の裏には「焼尻島にて 畠中さんと」の文字が。
畠中・・・? これは偶然だろうか・・・?
写真の場所へ向かう途中、「オンコの荘(※2)」を散策する数茂。
5万本とも言われる焼尻島の原生林は、天然記念物に指定されている。
焼尻のオンコは、日本海の厳しい季節風や雪の重みに長年さらされた結果、
本来高く伸びるはずの枝が地を這うように伸びている。
これは他ではなかなか見ることのできない景観だ。
鬱蒼と茂る森を抜けると一気に開けた景色が広がり、遠くには羊の群れも見える。
焼尻には「めん羊牧場」があり、約200頭の羊が放牧されている(※3)。
「コーイコーイ」と羊を呼ぶのは、この道40年の場長・大井公世さん。
掛け声だけで羊の群れを自在に操る姿は、まさに”絵になる男”である。
とそこへ、道に迷ったらしい天羽が近づいてきて、大井さんに道を尋ねる。
先ほど港の地図で確認したはずなのだが、イマイチ分かっていなかったらしい。狭い島なのだが・・・。
写真の場所は「鷹の巣園地」といい、
島で最も標高が高いところにあるため360度のパノラマが楽しめるのだそうだ。
大井さんに丁寧に道を教えてもらい(といってもただ真っ直ぐ進むだけだが)、「鷹の巣園地」に向かう天羽。
するとその「鷹の巣園地」にはすでに数茂がいて、写真と実際の風景を見比べていた。
どうやら数茂の目的地もここだったようだ。
公園は近年整備されたようだが、天売島を望む美しい景色はほとんど変わっていない。
そこに、ウロウロと迷った末、ようやくたどり着いた天羽が現れる。
すると、数茂が持っていた写真が風に飛ばされ天羽の足元に。
天羽が拾い上げてみると、なんとそれは・・・
全く同じ写真だった!(※4)
何が起こったのか全く理解不能な天羽。
そこに数茂が近づく。「すいません・・・」。
2枚の同じ写真を並べて見せる天羽、そしてそれを覗き込んで驚く数茂。
2人は、お互いの祖父・祖母がかつてこの地で会っていたことを悟る。
島を旅した際にたまたま出会ったのか、はたまた、恋人同士で2人で一緒に島を旅したのか・・・
詳しいことはさっぱり分からないのだが、2枚の写真が全く同じ写真であることは間違いない。
全く同じ写真を持ち、全く同じ(ような)動機で旅をしていることを知った2人。
これは何かの運命なのか・・・、お互いの祖父・祖母が2人を引き合わせたのか・・・
衝撃的な出会いに2人すっかり意気投合してしまった。
そして2人は、次の目的地である隣の天売島を一緒にまわることに。
港の「おろろんレンタル」で自転車を借りて島めぐりに出かける。
焼尻島よりも最高点の標高が100mほど高い天売島は坂が多く、自転車で回るのは思っていたよりキツい。
断崖絶壁の絶景を楽しみながら、まずは島を一回り。2時間ほどで一周できた。
その後は、楽しみにしていた食事。
アワビやウニをはじめ、新鮮な海の幸が所狭しと並ぶ光景はまさに圧巻で、まるで竜宮城にでも来たような気分だ(※5)。
美味しい食事を堪能していると、女将さんが昔の天売の写真が入ったアルバムを見せてくれた。
ニシン漁が華やかだったころのものや、昭和40年代の離島ブームのものなど、昔の天売の様子がよく分かる。
と、その中に1隻の船の写真があった。船名は「天羽丸」。
その昔、羽幌と天売・焼尻両島を結んでいた船だ。
思わず、「あたしとおんなじ名前〜」と無邪気に喜ぶ天羽。
だがそれは、実は偶然ではない。
天羽の名前は祖母がつけてくれたものであり、まさにこの「天羽丸」からとっていたのだ。
もちろん、祖母がかつて留萌に縁があったことや天売・焼尻を訪れていたことは写真を発見して初めて知ったことで、祖母からは名前の由来を「天に向かって羽ばたいて欲しいと思ってつけたのよ」と聞いていた天羽。
「ひょっとして、私の名前って・・・」と考えてみる様子は・・・、残念ながら無い。
食事の後、島をもう一周する2人。
天売島は春から夏の時期、約60万羽といわれるウトウをはじめ、8種類で約100万羽が営巣する「海鳥の楽園」だ。
あいにく2人が訪れた時期は鳥の繁殖時期を過ぎており、海鳥の姿はほとんど見られなかったが(※6)、
断崖から海鳥を観察するための施設、「海鳥観察舎」には豊富な説明パネルあり、天売島の海鳥について知ることができた。
2人が望遠鏡をのぞいていると、そこに登場したのは天売島きってのイケメンガイド、齊藤暢さん。
天売島に生まれ育ち、幼いころから海鳥が大好きだったという齊藤さんは、
学術的にも貴重な、オロロン鳥やケイマフリの生態など、海鳥のことをいろいろと教えてくれた。
100万羽の海鳥と人間が共存する天売島は、世界的に見ても珍しい”奇跡の島”なのだそうだ。
夕暮れが近くなってきた島をさらに散策する2人。
訪れたのは、毎年60万羽のウトウのコロニーとなる「赤岩展望台」。
時期が良ければ、ヒナに与える小魚を口いっぱいにくわえたウトウが一斉に帰巣する時間帯だ。
隣の焼尻島、そしてその奥にうっすらと北海道本土を眺めることができる絶好のロケーション。
これまでの旅の顛末など、2人の会話のネタは尽きない。
そして、日本海に沈む美しい夕陽が、そんな2人を優しくつつんでくれる・・・。
さてさて、この後2人の関係は一体どうなっていくのだろうか・・・
兎にも角にも2人は「夫婦島であいました。」
※1)羽幌−焼尻間はフェリー「オロロン2」で1時間、高速船「さんらいなぁ2」で35分。
羽幌−天売間はフェリー1時間35分、高速船1時間。
※2)オンコとは、常緑針葉樹イチイの北海道名。
※3)島の羊は肉質が高く評価されており、首都圏の高級フランス料理店でも珍重されている。
※4)因みにこの写真に写っているのは本WEBCMの監督夫妻である。どうしても自分をどこかに出したかったらしい。
※5)昼食という設定だが、実際にはこの食事はキャスト・スタッフがお世話になった「島の宿大一」さんの夕食。
※6)ウトウの帰巣が見られるおススメの時期は6月〜7月前半。特に6月後半からはウニ漁が解禁になるため、
天売島観光には最高の時期。
大井公世
萌州ファーム株式会社 取締役場長
齊藤暢
天売小型運輸有限会社
おらが島活性化会議 代表