JR留萌線の終着駅、高倉健主演の映画「駅 STATION」の舞台にもなった増毛駅に降り立った天羽。
かつて祖母がお世話になったらしい、池田さんという女性を探しに増毛にやってきた。
手がかりは果樹園で撮られた祖母と池田さんのツーショット写真。
まずは、”日本最北のフルーツの里”として知られる、果樹園地帯へ向かう。
本来、役場などで池田さんに関する情報を集めるのが筋というものだが、
そこは天羽のこと、「何食べよっかな〜♪」とすっかり観光気分で迷いなく果樹園を目指したのである。
季節は秋。リンゴ、ナシ、ブドウ、プルーンと美味しいフルーツが盛りだくさんの時期とあれば、致し方ないか・・・。
途中、昭和11年建築で北海道遺産にも指定されている(※1)、旧増毛小学校前を通り、一路果樹園地帯へ。
「ぶどう狩り」のノボリに誘われて入ったのはヤマセン仙北果樹園。様々な種類のブドウが並んでいて、どれも美味しそう。
旅の途上にある天羽は、「旅路」というブドウに特に惹かれた。初めて見る品種だった。
そこへ、果樹園のご主人が「ブドウ狩りでもしてみる?」と現れる。何とも軽快なノリである。
早速申込書を書き(※2)、ブドウ畑へ。
ご主人からの丁寧な説明を受けながらブドウ狩りを満喫する天羽。
「旅路」は縞模様の見た目もきれいでとても甘く、美味しいブドウだったので実家にひと箱送ることにした。
因みに、天羽は見ていないかもしれないが、果樹園地帯の背後には美しい暑寒別岳がそびえている。
ブドウをたくさん食べ(※3)大満足の天羽の次のターゲットは「お酒」。日本最北の酒蔵である「国稀酒造」である。
写真のことは忘れているのだろうか・・・。
中心市街地にある国稀酒造の建物は、「旧商家丸一本間家」などとともに北海道遺産に指定されている(※1)。
酒蔵の内部は一般公開されていて、ガイドの方が資料室や貯蔵タンクなどを案内してくれた。
そしていよいよ、楽しみにしていた試飲!
勧められた「暑寒美人」というお酒は、ほんのり甘く、軽い口当たりで何杯でもいけそう(※4)。
「今晩ホテルの部屋で飲もっかな〜♪」と早速購入する天羽だった。
と、ここでようやく、写真の池田さんのことを尋ねる天羽。忘れてはいなかったらしい。
ガイドの方によると、この女性は池田鈴子さんといい、現在ボランティアで観光ガイドをやっているそうで、
駅前の観光案内所にいるという(※5)。
因みに、お酒のうんちくなども豊富に交えながら丁寧に説明してくれた国稀の暑寒美人なガイドさんは・・・
なんと本間家の四代目、本間櫻さんだったのだが、天羽がそれを知ったのは後日、東京に帰ってからだった。
ようやく旅の主目的にたどり着いた天羽は、早速観光案内所へ。
そこは、映画「駅 STATION」で烏丸せつこ演じるすず子が働いていた「風待食堂」の建物であり・・・
ん? すず子? これから私が会いに行くのも「すず子さん」ではないか! 何たる偶然!
ということに天羽が気づいていたかというと、残念ながらそうではないらしい。
池田さんは、突然の天羽の訪問に驚いた様子だったが、写真を見せるとすぐに当時のことを思い出してくれ、
祖母との思い出話をたくさん聞かせてくれた。
二人はとても仲が良く、夏にはサクランボ狩り、秋にはリンゴやブドウ狩りによく行き、お酒もよく一緒に飲んだそうだ。
池田さんと話していると、在りし日の楽しく語らう祖母の姿が手に取るように想像できた。
「おばあちゃん、この街好きだったんだな・・・」と、何だか自分まで嬉しくなる天羽だった。
※1)「増毛の歴史的建物群」として平成13年に選定された。本編に登場した「旧増毛小学校」「旧商家丸一本間家」「国稀酒造」「風待食堂」の他、「増毛館」「旅館 富田屋」などがある。
※2)この申込書は撮影用に作ったもので、ヤマセン仙北果樹園さんにはこのような申込書は無い。
※3)実際、監督のリクエストで様々なカットを撮影したため、結構な数食べている。
※4)本来水でごまかすところだが、この撮影では本当に「暑寒美人」を飲んでいる(監督の強い要望らしい)。何度かNGを出しているので、結構飲んだかも・・・。
※5)池田鈴子さんは、実際に観光ガイドをされている方だが、普段観光案内所にいらっしゃるわけではない。
仙北清孝
ヤマセン仙北果樹園
本間櫻
国稀酒造株式会社 取締役企画室長
池田鈴子
増毛町観光ボランティアガイド