祖父の写真に写っていた人々や景色に興味を持ち、”るもい”を旅することになった畠中数茂。
最初の目的地は、旧国鉄羽幌線の天塩大沢駅で撮られたという写真が気になり初山別村に決めた。
廃線から25年以上経つ羽幌線だが、橋梁やトンネルなどの遺構が現在も残っており、鉄道好きの数茂にとっては見どころ満載だ。
写真に写っている、祖父がお世話になったという人にも会ってみたい。
沿岸バス豊富留萌線の大沢バス停に降り立つ。かつての天塩大沢駅付近(※1)のはずだが、ほとんど何もない(※2)。
気を取り直して沿線を歩いてみると、巨大な陸橋(※3)が現れる。「おおー、すげぇ」。
その後も駅の跡やトンネルなどを求めて歩き続けるが、ふと遠くに変わった形の建物(※4)を発見する。
行ってみると、そこは「しょさんべつ天文台」。
直径65cmの反射式、北海道内で3番目の大きさという望遠鏡でいろいろな星を見せてもらう数茂だが、
ふと、天文台内に貼ってある「星をプレゼントしてください。」と書かれたポスターに気づく。
聞いてみると、しょさんべつ天文台では、夜空に輝く名もなき星に名前をつけることができる制度があり、
それを誰かにプレゼントすることもできるのだそうだ。
この後、祖父の写真に写っていた女性に会いに行くことになっていた数茂は、これはいいプレゼントになると喜んだ。
「星のプレゼントなんて、ロマンチックだなぁ・・・」
申込書を書いて、登録証をもらう(※5)。
天文台を辞し、祖父が昔お世話になったという高場志津子さんの元に向かう。
高場さんは現在、「ほしの工房」代表として、初山別村の特産物であるもち米を使ったお菓子「ほしおこし」を作っているそうだ。
「ほしの工房」を訪ねると、高場さんが満面の笑みで迎えてくれた。
祖父の写真を見せ、先ほど手に入れたとっておきのプレゼントを贈ると、とても喜んでくれた。
※1)駅は国道から少し山側に入った小高い場所にあった。
※2)国道沿いに旧大沢小学校の建物が残るのみ。
※3)鉄道ファンには有名な「金駒内陸橋」。かつては手前の直線部分から続く長大な連続陸橋が残っていたが、現在は曲線部分がわずかに残るのみ。
※4)「しょさんべつ天文台」の建物はアポロの月着陸船をモデルにしている。
※5)通常、申し込みから登録までは約1か月かかる。
高場志津子
ほしの工房 代表
黒田弘章
しょさんべつ天文台